ちょっと前にいたく感じ入って保存しておいたこんな話がある。
『昔、ある王国に3人の王子がいた。
ある日、王様は3人の王子に北の国境を目指すようにと命令する。
王子たちはすぐに城を出発し、「辿り着けば、さぞかし立派な褒美をもらえるだろう」と期待した。
幾日も歩き続け、険しい山脈をようやく越えたとき、王様からの使者が現れ、王子たちに伝えた。
「ここで引き返した王子には、死ぬまでに使い切れないほどの財宝を与えよう」
ここで長男は城に戻ることを選び、約束通り贅を尽くして一生を暮らした。

そして、さらに北の国境へと進むことを選んだふたりの王子たちの道のりはますます険しくなり、
目の前には大河が立ちはだかった。
何度も溺れそうになりながら泳いで大河を渡り切ったとき、再び王様の使者が現れた。
「ここで引き返した王子には、美しい妃と子宝を与えよう」
ここで次男は城に戻ることを選び、
約束通り美しい妃とたくさんの子どもたちに囲まれて、一生を暮らした。
ひとり残った三男は、恐ろしい獣だらけの樹海を進んだ。
傷を負い、ボロボロの姿で樹海をどうにか抜けたとき、王様の使者が現れ、王子に伝えた。
「ここで引き返した王子には、王位を継承し王国のすべてを与えよう。
この先の国境にはなにもなく、二度と使者が現れることもない」
この言葉を聞いた三男の王子は、けれども引き返さずに国境を目指した。
ひたすら砂漠を歩き、北の国境に辿り着いたとき、
そこには本当になにもなかった。砂漠が延々と広がっているだけ。
王様からの使者は、二度と現れることはなかった。
王子はひとり満天の星の下で眠りについた』
今こうして読むと
教訓めいたもったいぶった話なんだけど、ただの後味の悪い物語…?
最初に読んだ時、なんであんなに心に残ったんだろう??
でもなんだか最後の”満天の星空”に救いがあるような気がしちゃうのよね。

(とはいえ私はぜったい長男ですが…)
あなたはどう思われましたか?


