先日、とあるリハーサル会場で。
初めての店でなくともスタッフの方には笑顔で丁寧に挨拶するのが私のいつものルール。
この日もオーナー、フロアスタッフ、そして裏に居たエンジニアにも挨拶をしてから
ステージでリハを開始した。
佐山雅弘似の素敵なオーナーと優し気なマダムとは対照的に
奥に居たのがふてくされた音響。
“Mexico” の青いTシャツを着てうすら髭にお約束のキャップ。50代前半ってとこか。

AIに作ってもらった。
俺は一目でわかった。
奴はマウントを取りに来る、と。
俺は心の中でため息をついて
「めんどくさくなるなこれは…」とつぶやいた。
初めてのメンバーとだから楽しくやりたかったのに‥‥ハァ (*´Д`)
まずメヒコ(本場の発音でこう呼びたいと思う)は私の顔も見ずに、私の前に譜面台を放り投げるように置いた。
しかしこの段階では俺は牙を隠していた。
「ありがとうございます」と言って和やかにリハをスタートさせた。
当たり前なのだが、
リハーサル中は曲を「歌う」のと、
打合せのための「喋り」が混ざる。
マイクの置き場やハンドリングも変わる。
するとツカツカと調整室からメヒコが出てきて
「あのう~ マイクの持ち方はそうするんですか?」
よくわからない私:「?」
「あのね、今あなたね、こう(立てて)持ったり、こう(横に)持ったりしてるんですよ、
どっちにします?」
来たな、と俺は思った。
メヒコは続ける。
「マイクっていうのはね、持ち方があるんですよ」
・・・・・リングイン。

俺「ハァ (*´Д`)…
解ってますよそんなのは!!
歌う時は(マイクヘッドと口を直線にして)こうしますから!
今は話したり後ろ振り向いたりしてるからでしょ?
まだ何かあるなら言ってみて?」
メ「‥‥」
まさか俺に反撃ラリアットされるとは思っていなかったメヒコは黙った。
そしてすごすごと調整室に帰って行った。
シオシオのパーである。
私は再び心の中で大きなため息をついた。
初対面のメンバーの前でキレたくはなかった…引かれたくはなかった…。
美魔女なのに(笑)。
少し温度が下がってしまったステージ上ではあったが
こっちはみんな大人なのでその後のリハをつつがなく終えた。
そしてまだお客さんの居ない客席にひとり座った俺のところに
メヒコはやってきた。
メ:「返し(ボーカル用のモニタースピーカー)、ちゃんと聞こえてますぅ?」と薄ら笑い。
私:「…あんまり聞こえてないけど…いいです」
「(内緒話をするような身振りで)今日は後ろがネ、うるさいですからね…俺もそれは言えないんですけどね。
自分、プロの音響じゃなくていつもはギターやってるんっスよ」
と低姿勢に話しはじめた。どうでもいい情報ありがとう。
だからね、無駄にマウント取ろうとするのやめなさい。。あとがみっともないんだから‥。
で、俺は思い出した。
昔の韓国人の男の子の友達を。
彼は良く言っていた。
「朝なんてさ、疲れてるから普通に電車乗ってただ学校まで行きたいわけよ。
でも途中で日本の学校のヤツらが仕掛けてくるわけ。
俺だって朝からやりたくないのよ。
『ハァ~ 今やるの?やめようや、めんどくせえなもう・・』ってゲンナリするわけ。
でもここで逃げたら同じ韓国人学校の下級生や女の子がいじめられるから、どうしてもやらなきゃいけないのよ。
ツラいよ」
と苦笑していたっけ。
普段ならメヒコのような輩には反応しない俺なのだが、
真剣勝負のステージでは意味のないマウントを取らせて萎縮するわけにはいかないのだ。絶対に。
そんなわけで
”かわいいボーカルのなおこさん” を初回からかなぐり捨てざるを得なかった俺の悲しさはけっこう大きかった。。
皆様、「大人だからバカは相手にしない」ばっかりじゃなくて時には無礼者をねじ伏せるのもアリですからね。
本日はそんな夏のお話でした。
アディオス。


