この頃やけに
昔の実家の風景を思い出す。
トシのせいかしら。
思えば我が家はかなり変わっていた。
ここからは自慢ではないのだが、こんな家だった。
まずドーナツ型の真ん中のない家で、中心はタイル張りのスペースになっていて、ここにめいっぱい水を入れると
ちょっとしたプールにもなったし、魚を放っていた時もあった。
寒くもない地域なのに暖炉用の穴(?)があり、洋間の一辺には20㎝ほど上がったステージと西陣織の朱と金の壁紙。
和室は巨大な和紙の照明がぶらさがった掘りごたつになっていて、庭には水琴窟じゃないけど
雨音を楽しむための何かのアイテムがあった。
キッチンには天窓、お風呂は外に面したガラスキューブ、そしてなぜか1Fの屋根部分に降りられるようになっているガラス戸。
吹き抜けの玄関スペースにはどうがんばっても掃除できない大きなボール型の照明が天上から下がっていて
通りから見えるようになっていた。
まるで杜子春に出てくるあの洛陽の家である。
AIに作ってもらったらこんな感じに…
出来た頃は住宅雑誌や照明メーカーだの家具屋さんのカタログページの撮影に使われたりしたものだったが、
今思えば単にあれもこれも試してみたかった設計士さんのいい実験室にされただけだったのだと思う。
その後
中庭 → 粗大ゴミ置き場
暖炉のスペース → 一度も使わずガスストーブ置き場に
ステージ → 私の勉強スペースに。中高生の頃私はステージ上で勉強をしていたというわけ。
和室 → つぶして普通の洋室に。
水琴窟 → 撤去
天窓 → 雨風で汚れ、時々野良猫ののぞき窓
お風呂のガラスキューブ → 怖くて入れなくなり普通の壁に改装
屋根へと降りる扉 → 危ないだけ。
ボール型の照明 → 誰も手が届かないのでサビて埃だらけになり撤去
あちこちに埋め込まれた間接照明 → 電球の交換が一苦労なので使わなくなった。
直しようのない中庭と屋根への扉だけは最後まで残ったが、後は全てリフォーム。そりゃそうだろ(笑)!
両親も初めての新築一戸建てでかなり盛り上がってしまったのだろうなぁ・・・。
思えば建築士さんもずいぶんと罪な人だったと思う。M岡先生よ。
この家はこのまとまりのなさ故にすぐに住みにくさだらけなのが発覚し、リフォームにつぐリフォームの末
最終的には「ごくごく普通の」住宅になったのだった。
水琴窟もステージもいらなかったのだ(笑)。
そう、家ってね、、
本当にシンプルで普通なのがいいのだ。
あの安藤忠雄さんも
スタイリッシュの極みのコンクリート打ちっぱなしのご自宅…に住んでいるわけではなく
「ごくごく普通のマンション」だそうである(笑)。
⇑ これじゃない (*_ _)ノ彡☆
春。引っ越し、独立の季節である。
住むなら、建てるなら普通の家にな!!