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ジュリー・なおこの Jazzy Chill Out~Lover, Come Back To Me
こんにちは!
今日も私のブログを訪ねて下さってありがとうございます。
本日の曲は「ラバカン」こと
Lover, Come Back To Me
です。
今日は先に歌詞をざっくりご紹介します。
歌詞要約
※このテーマでは著作権保護のため、歌詞(英・日共)は掲載せず
適正な引用のみでお届けしております。どうぞご了承くださいませ。
限られた表現の中ではありますが、歌の世界を楽しんで頂けましたら幸いです。
『空は青く、月も愛もあんなに新しかったのにあなたは行ってしまった。
お願い、帰ってきて!
あなたの言った言葉、一緒に歩いた道が今でも忘れられない。
私の心は歌っているの、”Lover, come back to me!”と』
という終始分かりやすい内容になっています。
2番もほぼ繰り返しなので歌詞としては非常にシンプルです。
概要
“Lover, Come Back to Me” は1928年、ブロードウェイのショウ ”The New Moon” のために
Sigmund Romberg(シグモンド・ロンバーグ)により作曲、Oscar Hammerstein II(オスカ・ハマースタイン2世)により作詞されました。
私のブログで取り上げている代表的なボーカルジャズの名曲の中ではけっこう古いほうです。
当時のポスター。時代感溢れてますね。
邦題は『恋人よ我に帰れ』ですが、日本ではもはや『酒とバラの日々=酒バラ』のように
『ラバカン』と呼んだ方がジャズファンには通りがいいですね。
ちなみに英語での正しい表記は “Lover, Come Back To Me” で、“Lover”の後に“,”(カンマ)が入ります。
そう、藤岡弘、みたいな。
さて、そんな「ラバカン」ですが
偉大なヒット曲にも関わらずなぜかデータや逸話が少ないんです。
誰それの名演で大ブレイク、とか、権利で揉めた(結構ある)みたいなサイドストーリーがほとんどないのです。
それはもしかしてこの曲が
・耳馴染みがよく
・アップテンポの演奏が小気味よく
・歌詞もシンプルで解りやすく
・お客さんも手拍子などで参加しやすい
などのヒットの要因をあまりにも備えているため、
”誰が演っても喜ばれて、放っておいてもヒットする「手のかからない優良生」” すぎるからなのでしょうか?
私にはそんな風に感じられてしまうんですよね~。
私のこのブログの中でとても多く読んで頂いているのは、
「”A Nightingale Sang in Berkeley Square”= バークリースクエアのナイチンゲール」と
「“I Concentrate on You”=あなたに夢中」
ですが、どちらもメタファーが多かったり、後悔や切なさをゆったりとしたメロディーに乗せて語っている曲です。
それに比べると、ラバカンの良くも悪くも深みというか陰のなさよ(笑)。
「空は青いのにこんなに心が痛いわー ダーリン帰ってきてー」と妙にあけすけ(笑)。
ゴールデン街のゲイバーのママの愚痴みたいな。知らないけど。
そして「あんたそんだけ元気なら大丈夫だよ!」と心配して来てくれた常連のオカマに突っ込まれているみたいな。
知らないけど。
そんな闇のなさが日本のジャズファンにはあまり響かないのかしらっ??
そんな印象のせいで私はライブではあまり手が伸びない曲でした。
ただし、スローな曲が続いた後のお口直しとして超ハイスピードで演奏してステージにメリハリをつける、
というような場面にはぴったりでした。
さて、それではそんな優等生な曲?を聴いてみましょうか
参照動画
本場ではビリー・ホリディ、ナット・キング・コール、パティ・ペイジ等、そして日本では
美空ひばり、フランク永井、サ・ピーナッツといったところが有名です。
ちょっと面白いのはパティ・ペイジのバージョンで ”Lover, Come Back To Me” の部分を
“Brother, this part is a little too low for me”(♪ここはちょっと私の声には低すぎる~)と歌っているところ。
最初に聴いた時は笑ってしまいました。
ということでまずはそれを。
日本勢からはスローな男性ボーカルでフランク永井さんお願いします
Etc.
さて、「ラバカン」いかがでしたでしょうか?
最後に私のエピソードで恐縮ですが、この曲に関しての母との思い出をお話させて下さい。
母は私がジャズを歌うのをあまり喜んでいませんでした。
夜にお酒ジャブジャブ、タバコモクモクの退廃的な人間の集まる店で色気を売りにして(そんな事はないのですが・笑)
酔っ払い相手に ”You’d be so nice to come home to~” とかやっている娘はあまり好きじゃなかったんですね。
子供の頃から英語が得意ないい子で、翻訳者になってテレビの字幕を手掛けたり良い企業で活躍している、
という私が自慢だったのでそれは仕方ないと思います。
ライブに来てくれたのも一度だけ。それも無理にバンドメンバーが引っ張り出した私の両親向けの企画ものでした。
終始恥ずかしそうに俯いてソフトドリンクを飲んでいた母の姿が忘れられません。
終わったら速攻帰ってたし(笑)。
そんな母がある日、雑誌「サライ」の付録だったCDをわざわざ家まで持ってきてくれたのですから驚きました。
こちらが現物。
ジャズシンガーなんて早く辞めて欲しい、とずっと思っていたはずの母が私のために届けてくれたのです。
そのCDの収録曲が「ラバカン」。
”もしやこれは母が好きな曲で、私に歌って欲しいというメッセージなのか…?”
と深読みしたものの、またライブに招待してそれを聴いてもらうチャンスもないまま他界してしまいましたので
今も私の中での謎です。
皆様のご両親もきっと好きなこの曲 “Lover, Come Back to Me”、是非レパートリーに加えてプレゼントしてみて下さい。
See you, next time!